一人暮らしの親が心配になったら|生活の変化と、離れて暮らす家族にできること

家族

久しぶりに帰省したら、親の家が以前より散らかっていて。同じ食品もいくつか買い込んでいました。

一人暮らしを続けていて大丈夫なのか、心配です。

ケアマネジャー

まずは、以前と比べてどんな変化があったのか、食事や買い物、薬の管理などを具体的に見てみましょう。

家族

本人は『大丈夫』と言うんです。離れて暮らしているので、私も頻繁には行けなくて……

ケアマネジャー


「本人が負担に感じていることを聞きながら、ご家族が続けられる関わり方と、近くで手伝ってもらえる方法を考えていきましょう

久しぶりに帰省したら、親の家が以前より散らかっていた。冷蔵庫に同じ食品がいくつも入っていた。話している間は元気そうでも、帰ってから「あのまま一人で暮らしていて大丈夫だろうか」と気になることがあります。

心配になったときは、まず以前の暮らしとの違いを具体的に確かめ、本人の思いを聞いてみてください。家族だけで判断が難しければ、親の住む地域の相談先につなぎます。すぐに同居や施設入居を決めなくても、生活の困りごとを補う方法を考えることはできます。

一人暮らしが心配になったきっかけを整理する

お盆や年末年始の帰省をきっかけに、「急に弱った気がする」「認知症が進んだのでは」と相談されることがあります。短い滞在では、何が起きているのか分からないまま、不安だけが大きくなることもあります。

例えば、片道半日ほどかけて母親の家を訪れた家族から、年始の帰省後に相談がありました。冷蔵庫には卵が3パックあり、歯磨き粉などの日用品も必要以上に買い込まれていました。理由を聞いてもはっきりした返事はなく、その場では元気そうに見えたものの、家族には気がかりが残りました。

繰り返し同じことを聞く様子は、家族も年齢のせいだと思っていました。さらに生活の様子を聞くと、もともときれい好きだった母親の家に、ごみが袋にまとめられず散らばっていたこと、長く服用している薬が大量に残っていたことも分かりました。

このような様子だけで認知症と決めることはできません。ただ、「同じ物が多い」という一つの出来事に加えて、掃除や服薬にも以前との違いがあると分かれば、相談するときに生活の変化を具体的に伝えられます。気づいた時期や頻度も、覚えている範囲で書き留めておくと役立ちます。

帰省や連絡のときは以前との違いを見る

家の片づき具合だけでなく、食事、買い物、洗濯、ごみ出し、外出、薬やお金の管理など、日々の暮らしに目を向けてみてください。以前からの習慣なのか、最近変わったことなのかで、受け止め方も変わります。

最初からできていない点を指摘すると、本人がその場を取り繕おうとして、暮らしの様子が分かりにくくなることがあります。「ちゃんと食べている?」だけではなく、「最近は何を作って食べている?」「買い物は週に何回くらい行く?」「重い荷物はどうしている?」と、普段の様子を話してもらいましょう。

薬が残っているときも、責める前に「飲み忘れるのはどんなとき?」などと聞いてみます。家族の判断で薬を減らしたり中止したりせず、気づいたことを主治医や薬剤師に伝えてください。

ただし、質問を次々に並べて、確認のための面接のようにならないようにしたいものです。一緒に食事をしたり買い物に行ったりする時間の中で、以前と違うところがないかを見ていくようにするとよいでしょう。かかりつけの医療機関、よく出かける場所、親しくしている人を知っておくことも、離れて暮らす家族の備えになります。

親が大丈夫と言うときは困りごとから話す

家族には不便に見えても、本人は困っていないことがあります。知らない人が自宅に入ることへの抵抗も、自然な反応です。「危ないから」「家族が困るから」という説明だけでは、支援を受け入れにくい場合があります。

まず、本人が何を負担に感じているのかを聞いてみてください。買い物の荷物が重い、夕食を作るのが面倒、ごみを集めるのが大変など、本人が「そこを手伝ってもらえると助かる」と思えることから考えます。家族が望む生活を一度に整えようとせず、本人にとって使いやすい方法を探していきましょう。

ただし、本人が大丈夫と言っていても、安全上の心配がある場合は相談を先延ばしにしないでください。認知症が疑われるときも、診断や支援の必要性は専門職に相談します。認知症があるという理由だけで、一人暮らしが直ちにできなくなると決まるわけではありません。本人の状態と、周囲から受けられる支援を合わせて考えます。[1・2]

離れて暮らす家族が続けられる関わり方を考える

遠方に住んでいると、変化をすぐに知ることも、気になったときに駆けつけることも難しくなります。電話の回数を増やすだけでは埋められない部分を、誰に手伝ってもらえるか考える必要があります。

帰省の頻度は、仕事や家庭、自分の体調、移動時間と費用を踏まえて決めましょう。無理を重ねて頻繁に通うより、続けられる予定を立て、その間を補う支援を探しておくことが大切です。

帰省に合わせて、通院の付き添い、必要な手続き、ケアマネジャーや支援者との話し合いをまとめられると、限られた時間を使いやすくなります。予定の調整が必要なので、早めに相談しておきましょう。

まだ介護が必要か分からない段階でも、親の住所地を担当する地域包括支援センターに相談できます。まず電話で、家族が気づいた変化や、次に帰省できる時期を伝えてみてください。状況に応じた相談や支援へのつなぎ方を一緒に考えてもらえます。[3]

生活の困りごとに合わせて支援を組み合わせる

食事と買い物を支える

食事は、一人暮らしを続けるための土台です。買い物に行くのが難しいのか、料理をするのが負担なのか、届いた食事を食べることにも手助けが必要なのかで、合う支援が変わってきます。

料理はできても重い物を運べないなら、食材や日用品を届ける宅配スーパーや、地域で利用できる移動販売が選択肢になります。家族が注文し、親が受け取る形を利用できるか、注文方法や配達地域と合わせて確認してみましょう。

宅配スーパーの事業者を地域から探す

調理が負担なら、配食サービスを検討できます。自宅に人を招き入れる支援に抵抗があっても、玄関先で食事を受け取る方法なら受け入れやすい場合があります。

届けてもらえれば終わりではありません。冷凍庫にしまえるか、容器を開けて温められるか、実際に食べているかまで確認する必要があります。認知機能が低下している場合は、食事が届いても、その後の準備が難しいことがあります。[2]

相談の現場でも、味が合わない、同じような献立に飽きたという理由で、配食をやめてしまう人がいます。家族にとって便利だからと続けることを求めず、本人の好みを聞き、別の事業者や届け方を試すことも考えましょう。

配食サービスの事業者を地域から探す

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家事や身の回りのことを支える

掃除や洗濯、買い物、身の回りの動作に支援が必要な場合は、介護保険サービスを利用できるか、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談します。訪問介護では、本人に必要な身体介護や生活援助などを行いますが、希望する家事をすべて頼めるわけではありません。[4]

介護保険の対象にならない作業や、より長い時間の支援を希望する場合には、自費の家事・生活支援も選択肢になります。例えば、ペットの世話などに対応する事業者もあります。提供できる作業、時間帯、料金は事業者ごとに確認してください。

夜間に不安がある場合も、介護保険で利用できる支援を含めて相談します。そのうえで不足する部分があれば、自費サービスを検討します。健康状態や看護の必要性によっては、自費訪問看護を含めて相談する方法もあります。長時間の利用は費用が大きくなるため、必要な時間と予算を具体的に伝えましょう。

家事・生活支援の事業者を探す

自費訪問看護の事業者を探す

事業者には、頼みたい作業だけでなく、本人がどのように暮らしたいかも伝えておきます。担当者の資格、何人が交代で来るのか、予定変更やキャンセルの扱い、家族への報告方法を確認すると、利用後の行き違いを減らせます。

高齢者向け生活支援サービスとは?家事・買い物・見守りの頼み方

高齢者向け生活支援サービスで頼める家事、買い物、見守りの内容、介護保険との違い、料金、事業者選びを解説します。

連絡が取れることと生活が回っていることは分けて考える

電話で元気に話していても、食事や服薬、家事がこれまでどおりできているとは限りません。本人が使えるなら、ビデオ通話で顔を見ながら話す方法もありますが、画面に映らない部分まで分かるわけではありません。

近所の親族、友人、民生委員など、普段の関わりがある人に相談できるかも考えます。ただし、見守りや駆けつけを当然に頼めるものではありません。本人の意向を確かめたうえで、協力してもらえる範囲や連絡方法を事前に話し合っておくと良いでしょう。

センサーや安否確認サービスを使う場合も、「異常の通知を誰が受け取るか」「本人に連絡がつかなければ誰が確認するか」「現地に行ける人がいるか」を決めておきましょう。通知を受けても家族がすぐ動けないなら、駆けつけ対応を含むサービスが必要か、その対応地域や条件も確認します。

意識がない、強い呼吸困難があるなど、緊急性の高い状態では119番へ連絡してください。救急車を呼ぶか迷うときは、実施地域では救急相談窓口の#7119を利用できます。連絡先は、親の地域で利用できるものを事前に調べておきましょう。[5]

一人暮らしの親を見守る方法|訪問・センサー・生活支援の選び方

一人暮らしの高齢の親を見守る方法を、訪問、電話、センサー、緊急通報、生活支援に分け、選び方と確認点を解説します。

一人暮らしの見直し方を元気なうちに話しておく

支援を加えて暮らしが落ち着いても、その方法がずっと続けられるとは限りません。家族の予定や費用、親の状態が変わったとき、どの段階で暮らし方を見直すかを話しておきましょう。

予定外の帰省が増えて家族の生活が成り立たなくなった、本人から困りごとを聞き取れず近くの人に何度も確認を頼むようになった、火の管理やトイレの動作に危険や大きな負担が出てきた。こうした変化は、支援の組み方を改めて相談するきっかけになります。

一つの出来事で一律に施設入居を決めるのではなく、支援を増やせるか、本人の希望はどうか、家族や周囲が続けられるかを合わせて考えます。同居や住み替え、施設への入居も選択肢ですが、いずれも本人の生活が大きく変わることです。

「一人暮らしが難しくなったら、どこで、どんなふうに暮らしたい?」という話は、差し迫ってからでは落ち着いてしにくくなります。元気なうちから、本人の考えを少しずつ聞いておいてください。

帰省したときには、以前との違いを見ておくこと。そして、困りごとが大きくなる前に、本人の意向を聞いておくこと。この二つが、離れて暮らす家族が次の支援を考える手がかりになります。

参考資料

[1]厚生労働省 認知症について

[2]国立長寿医療研究センター 認知症の人の生活支援 よくある質問

[3]厚生労働省 家族の介護が必要になったとき

[4]介護サービス情報公表システム 訪問介護

[5]総務省消防庁 救急安心センター事業

投稿者プロフィール

わたしのケア編集部
わたしのケア編集部
寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。