高齢者向け配食サービスの選び方|食事内容・受け取り・見守りで確認したいこと

一人暮らしの父が、最近はパンと牛乳だけで食事を済ませているようなんです。
配食サービスを頼もうと思って調べたら種類が多すぎて、どれがいいのか分からなくて。

配食サービスは、メニューや価格だけでなく、冷凍か冷蔵か、毎日手渡しで届くのかまとめて届くのか、配達のときに様子を確認してくれるのかといった点で大きく違います。
お父さんの生活に合うかどうかで選ぶのがポイントです。

電子レンジは使えるんですが、届いた食事をちゃんと食べているのか、離れて暮らしているので分からないのが心配で。

受け取れているか、食べられているか、何かあったときに誰に連絡が来るのかも、選ぶときの大切な確認点です。食事の内容から見守りまで、順番に整理していきましょう。
高齢者向けの配食サービスは、調理済みの食事を自宅まで届けるサービスです。民間事業者のほか、自治体が実施する配食もあり、食事の内容、保存の方法、届け方、見守りの有無、注文や変更の方法がサービスによって異なります。親の食べる力、生活のリズム、一人で受け取れるかどうかに合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、配食サービスの概要、食事内容で確認すること、冷蔵・冷凍・常温の違い、手渡しとまとめ配送の違い、見守りと安否確認、注文・変更・キャンセルの確認点、家族が様子を確認できる仕組み、自治体の配食との違い、選ぶときのチェックポイントを説明します。親の食事と生活の状況に合う配食サービスの条件を整理するための参考にしてください。
高齢者向け配食サービスとは
配食サービスは、弁当やおかずなどの調理済みの食事を、利用者の自宅まで届けるサービスです。高齢者向けのサービスでは、栄養のバランスに配慮した献立や、食べやすさに配慮した食事、持病に合わせて塩分などを調整した食事を用意しているところもあります。
厚生労働省は、2017年(平成29年)3月に「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」を公表しています。このガイドラインは、配食事業者や自治体に向けて、献立の作成、栄養価のばらつきの管理、利用者の状態を確認するアセスメントと継続時のフォローアップなど、配食事業の栄養管理のあり方を整理したものです。利用者向けのパンフレットも用意されています。
介護サービス情報公表システムでも、地域の生活支援等サービスとして「配食(+見守り)」が分類されており、配食だけでなく、訪問時に安否確認や見守りも兼ねたサービスと説明されています。
配食サービスは、買い物や調理が負担になってきた人、食事の量や栄養のかたよりが気になる人、一人暮らしで安否確認も兼ねたい人などに利用されています。
食事内容で確認すること
配食サービスを選ぶときに、まず確認したいのが食事の内容です。
一つは、栄養のバランスと量です。主食、主菜、副菜がそろっているか、おかずだけのサービスか、ごはんも付くのかを確認します。1食の量が本人に合っているかどうかも大切です。量が多すぎて残してしまう場合も、少なすぎて足りない場合もあります。
二つ目は、食べやすさです。歯や入れ歯の状態、飲み込む力によっては、普通の食事では食べにくいことがあります。やわらかく調理した食事、刻んだ食事、ペースト状の食事など、食べやすさに配慮した食事を用意しているかを確認します。厚生労働省のガイドラインでは、こうした食事は「物性等調整食」として整理されています。ただし、刻み方やとろみの付け方が本人の飲み込む力に合わないと、かえって食べにくくなることがあります。むせや飲み込みに不安がある場合は、主治医、歯科医師、管理栄養士、言語聴覚士などに相談してください。
三つ目は、持病に合わせた食事です。糖尿病や腎臓病、高血圧などの持病がある場合、エネルギーやたんぱく質、塩分などを調整した食事が必要になることがあります。ガイドラインでは、こうした食事は「栄養素等調整食」として整理されています。ただし、どのような食事が本人に合うかは、病状によって異なります。医師や管理栄養士から食事について指示を受けている場合は、その内容を事業者に伝え、対応できるかを確認してください。指示を受けていない場合でも、持病のために食事の調整が必要かどうか迷うときは、主治医や管理栄養士に相談することが大切です。
四つ目は、好みとアレルギーです。味付けや苦手な食材、食物アレルギーへの対応を確認します。毎日同じような味だと飽きてしまうこともあるため、献立の種類や、選べるメニューがあるかも確認しておきたい点です。
あわせて、献立を誰が作っているのかも確認しておくとよいでしょう。ガイドラインでは、一定の規模や内容の配食事業では、管理栄養士または栄養士が献立の作成を担当することとされています。
冷蔵・冷凍・常温の違い
配食サービスの食事は、届くときの温度や保存の方法によって、主に冷蔵、冷凍、常温に分けられます。それぞれに特徴があり、本人の生活に合うものを選ぶ必要があります。
冷蔵の食事は、調理後に冷やした状態で届けられるもので、その日や翌日までに食べることを前提としたものが多くなります。電子レンジで温めて食べるか、そのまま食べられるものもあります。毎日の配達と組み合わせて利用されることが多く、届いた食事をその日のうちに食べる生活のリズムに合います。一方で、消費期限が短いため、食べ忘れると傷んでしまう心配があります。消費期限や保存方法は商品ごとに異なるため、必ず表示を確認してください。
冷凍の食事は、冷凍した状態で届けられ、冷凍庫で保存し、食べるときに電子レンジで温めます。保存できる期間が長いため、まとめて届けてもらい、好きな日に食べることができます。ただし、冷凍庫に入る量には限りがあり、電子レンジを使えることが前提になります。温める時間を守れるかどうか、容器のふたを開けられるかどうかも確認しておきましょう。
常温の食事は、レトルトなど常温で保存できる形のもので、災害時の備えとしても利用されることがあります。保存しやすい一方で、温めの手間や、食べられる献立の種類に限りがある場合があります。
毎日手渡しかまとめ配送か
配食サービスの届け方には、毎日、または決まった曜日に、配達員が本人に手渡しで届ける方法と、数日分や1週間分をまとめて届ける方法があります。
手渡しの配達は、冷蔵の食事と組み合わせて行われることが多く、昼食や夕食の時間に合わせて届けられます。配達員が本人と顔を合わせるため、安否確認や見守りの役割を兼ねることができます。一方で、本人が決まった時間に自宅にいる必要があり、不在の場合の対応を決めておく必要があります。
まとめ配送は、冷凍の食事と組み合わせて行われることが多く、宅配便などで届けられます。受け取りの回数が少ないため、本人の負担は小さくなりますが、配達員が様子を確認する役割は期待しにくくなります。届いた食事を冷凍庫に入れる、食べる分を取り出して温めるといった作業を、本人ができるかどうかも確認が必要です。
どちらの届け方がよいかは、本人の生活のリズム、一人で受け取れるか、見守りを重視するかどうかによって変わります。

見守り・安否確認
配食サービスの中には、食事を届けるときに利用者の様子を確認する見守りや安否確認を行っているところがあります。
手渡しの配達では、配達員が本人に声をかけ、顔色や様子に変わったところがないかを確認します。配達に行っても応答がない場合や、いつもと様子が違う場合に、事業者があらかじめ決めた連絡先へ連絡する仕組みを設けているサービスもあります。
見守りを重視する場合は、どのような場合に、誰に、どのような方法で連絡が来るのかを確認します。応答がないときに、配達員がどこまで確認するのか(電話をかける、近所の人に声をかける、家族の到着を待つなど)も、事業者によって対応が異なります。
また、届けた食事をそのまま置いていく「置き配」では、本人と顔を合わせないため、対面での見守りはできません。見守りを期待する場合は、手渡しが原則か、置き配時に別の連絡や確認の仕組みがあるかを確認してください。

注文・変更・キャンセル
配食サービスを続けて利用するうえで、注文や変更、キャンセルのしやすさは大切な確認点です。
注文の方法は、電話、注文用紙、インターネットなどサービスによって異なります。本人が注文する場合は、電話や紙で注文できるかどうかを確認します。家族が離れた場所から代わりに注文や変更ができるサービスもあります。
変更やキャンセルについては、いつまでに連絡すれば変更できるのか、キャンセル料がかかるのかを確認します。通院や入院、家族の訪問などで食事が不要になる日もあるため、急な変更への対応は特に大切です。入院などで長期間利用を休む場合の手続きも確認しておきましょう。
料金は、1食あたりの料金のほかに、配達料、容器の回収、支払いの方法(口座引き落とし、クレジットカード、配達時の現金払いなど)を確認します。配達時に現金で支払う方法は、本人がお金の管理をできることが前提になるため、家族の口座から引き落とす方法なども含めて検討するとよいでしょう。
家族が確認できる仕組み
離れて暮らす家族にとっては、親が食事を受け取れているか、食べられているかを知る方法があると安心です。
配食サービスの中には、配達時の様子を家族に連絡したり、定期的に報告したりする仕組みを設けているところがあります。どのような内容を、どのくらいの頻度で、どの方法で伝えてくれるのかを確認しておきましょう。
厚生労働省のガイドラインでは、配食事業者が、注文時に利用者の身体状況や食事の状況を確認するアセスメントと、継続時のフォローアップを行うことが示されています。確認項目の例には、体重の変化、固いものが食べにくくなったか、お茶や汁物でむせることがあるか、配食の摂取量などが挙げられています。こうした確認を行っている事業者であれば、食べる量の変化などに気づいてもらえる可能性があります。
家族も、帰省したときなどに、届いた食事がどのくらい残っているか、冷凍庫に食事がたまっていないか、容器を開けられているかを確認しておくとよいでしょう。
ケアマネジャーの視点
配食サービスを始めると、家族は「これで食事は大丈夫」と安心しがちです。けれども、実際には、容器のふたが固くて開けられない、電子レンジの時間を間違えて温めすぎてしまう、おかずが固くて半分以上残している、といったことが起こることがあります。利用を始めて最初の2〜3週間は、できれば一度、食事の時間に合わせて様子を見に行くか、電話で「今日のおかずは何だった?全部食べられた?」と聞いてみてください。食べ残しが多い場合は、量や食べやすさ、味付けが合っていない可能性があります。持病のある人で食事制限が必要な場合は、主治医や管理栄養士にも相談しながら、食事の内容を見直していくことが大切です。
配食に加えて、掃除や買い物などの生活支援サービスを利用し、訪問の際に食事の様子も確認してもらう組み合わせ方もあります。
自治体の配食との違い
配食サービスは、民間事業者だけでなく、自治体が実施している場合もあります。自治体の配食は、一人暮らしの高齢者など、一定の条件にあてはまる人を対象に、安否確認を兼ねて食事を届けるものが多く、利用者の負担額が低く設定されていたり、民間の配食の費用の一部が補助されたりすることがあります。
一方で、自治体の配食には、対象となる人の条件(年齢、世帯の状況、要介護認定の有無など)があり、申し込みの手続きが必要です。配達できる曜日や回数、選べる食事の種類に限りがある場合もあります。
自治体の配食の有無や内容は、自治体によって大きく異なります。親の住まいの市区町村の窓口や、地域包括支援センターで確認してください。自治体の配食を利用できない日や、選べない食事の種類を、民間の配食サービスで補う組み合わせ方もあります。
選ぶときのチェックポイント
配食サービスを選ぶときは、次の点を確認しておきましょう。
- 栄養のバランスと1食の量が本人に合っているか
- やわらかさや刻みなど、食べやすさへの対応があるか
- 持病に合わせた食事への対応があるか(医師・管理栄養士の指示を伝える)
- 味付けや好み、アレルギーへの対応
- 冷蔵・冷凍・常温のどれか、本人が保存し温められるか
- 手渡しかまとめ配送か、本人が受け取れるか
- 見守りや安否確認の有無と、応答がない場合の連絡先
- 注文・変更・キャンセルの方法と期限
- 1食あたりの料金、配達料、支払い方法
- 家族への報告の仕組み
- 自治体の配食や補助が利用できるか
いくつかのサービスで迷う場合は、お試しの利用ができるかどうかも確認してみてください。実際に本人に食べてもらい、味や量、食べやすさ、受け取りやすさを確かめてから、継続して利用するかを決めると失敗が少なくなります。

配食サービスを探す
「わたしのケア」では、高齢者向けの配食サービスを、地域やサービス内容から探すことができます。親の食事と生活の状況を整理できたら、食事の内容や届け方、見守りの有無を見比べ、条件に合いそうなサービスに問い合わせてみてください。
掲載されている料金、対応地域、利用条件は変更されることがあります。問い合わせの際に、最新の内容を事業者へ直接確認してください。
参考資料
- 厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理」
- 厚生労働省「配食注文時のアセスメント及び継続時のフォローアップにおける確認項目例」
- 介護サービス情報公表システム「公表されている生活関連情報について」
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投稿者プロフィール

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寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。
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