高齢者向け生活支援サービスとは?家事・買い物・見守りの頼み方

家族

週末に実家へ行くと、庭には雑草が増え増え、玄関先も掃除ができずゴミが溜まっています。衣替えもできていなくて。

母は大丈夫と言いますが、たびたび通うのにも限界があって。

ケアマネジャー

掃除や洗濯、買い物、見守りなどを頼める高齢者向け生活支援サービスがあります。

介護認定がなくても利用できる保険外サービスもあります。

家族

介護保険のヘルパーさんに頼める家事とは、何が違うのでしょうか。

ケアマネジャー

介護保険の生活援助は本人の生活に必要な家事が対象で、家族分の家事や草むしりなどは対象外です。まず困りごとを具体的にして、保険で頼める部分と保険外で補う部分を分けましょう。

高齢者向け生活支援サービスとは、掃除や洗濯、調理、買い物、見守りなど、日常生活の家事や困りごとを支えるサービスのことです。介護保険の訪問介護にも「生活援助」という家事の支援がありますが、対象となる内容や時間には決まりがあります。保険外の生活支援サービスは、利用者と事業者の契約にもとづいて、内容や時間を相談して決められるのが特徴です。

この記事では、生活支援サービスで依頼できる主な内容、介護保険の生活援助との違い、費用を構成する項目、依頼内容の伝え方、事業者の選び方を説明します。親の困りごとを具体的な依頼内容に置き換え、対応できる事業者を探すための参考にしてください。

高齢者向け生活支援サービスとは

生活支援サービスは、高齢者が住み慣れた自宅で暮らし続けられるよう、日々の家事や身の回りのことを手伝うサービスです。提供しているのは、訪問介護事業所が保険外のサービスとして行っている場合のほか、家事代行会社、生活協同組合、シルバー人材センター、NPO法人、地域の住民団体など、さまざまです。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、地域の生活関連情報として、見守り・安否確認、配食、家事援助、外出支援などの生活支援等サービスが分類されて掲載されています。家事援助は「買物や掃除、調理、洗濯等の日常生活で必要な家事を支援するサービス」と説明されており、自治会や町内会、民間事業者などが担い手として想定されています。

保険外の生活支援サービスは、要介護認定を受けていなくても利用できるものがほとんどです。「介護が必要というほどではないが、家事の一部が負担になってきた」という段階から利用できるため、親の生活の変化に合わせて、必要な部分だけを頼む使い方ができます。

依頼できる主な内容

生活支援サービスで依頼できる内容は、事業者によって異なります。ここでは、依頼の多い内容を4つに分けて紹介します。

掃除・洗濯・調理

最も一般的なのは、掃除、洗濯、調理といった日常の家事です。居室やトイレ、浴室の掃除、洗濯物の取り込みやたたみ、数日分の作り置きの調理などを依頼できます。

調理を依頼する場合は、持病による食事の制限や、飲み込みやすさへの配慮が必要かどうかを伝えておきます。食事の制限については主治医や管理栄養士の指示がある場合もあるため、事業者がどこまで対応できるかを確認してください。

買い物代行・同行

買い物の支援には、利用者に代わってスーパーや薬局で買い物をする「代行」と、利用者と一緒に店へ行く「同行」があります。代行は外出が難しい人に、同行は自分で商品を選びたい人や外出の機会を保ちたい人に向いています。

買い物の支援では、お金の受け渡しと精算の方法を最初に決めておくことが大切です。預かり金の扱いやレシートの確認方法、立て替えの有無などを、事業者と家族で共有しておきましょう。

高齢の親の買い物を支えるサービス

見守り・話し相手

定期的に自宅を訪問して様子を確認したり、話し相手になったりするサービスもあります。一人暮らしの親の安否を確認したい場合や、会話の機会が減っていることが気になる場合に利用されています。

訪問による見守りのほか、電話による安否確認、センサーや家電を使った見守りなど、見守りの方法にはいくつかの種類があります。家事の支援と組み合わせて、訪問のたびに体調や生活の変化を家族へ報告してもらう使い方もあります。

一人暮らしの親を見守る方法

ペット・庭・家族分の家事

ペットの世話、庭の草むしりや植木の手入れ、大掃除や窓ふき、同居している家族の分の家事などは、介護保険の訪問介護では対象外とされている内容です。保険外の生活支援サービスであれば、事業者が対応していれば依頼できます。

ただし、高所の作業や大型家具の移動、専門的な庭木の剪定など、事業者によっては安全上の理由から対応していない作業もあります。依頼したい作業が決まっている場合は、対応できるかどうかを事前に確認してください。

高齢者向け生活支援サービスで頼める内容を、日常の家事、買い物、見守り、介護保険では対象外になりやすい家事の4つに分類した図

介護保険の生活援助との違い

介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)では、ヘルパーが自宅を訪問し、食事や排せつ、入浴などの介護(身体介護)や、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活の支援(生活援助)を行います。要介護認定を受けた人が、ケアマネジャーの作成するケアプランにもとづいて利用し、利用者の負担は費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)です。

介護保険の生活援助は、本人の自立した生活を支えることが目的のため、対象となる内容には決まりがあります。介護サービス情報公表システムでは、利用者の家族のための家事や来客の対応、草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備などは、訪問介護のサービスの対象外とされています。また、利用できる時間や回数は、ケアプランの中で、要介護度ごとの利用限度額の範囲内で決まります。

保険外の生活支援サービスは、こうした決まりの外側にある支援を、契約にもとづいて自費で依頼するものです。介護保険を利用している人が、訪問介護の前後に保険外の支援を加えることもできます。厚生労働省の通知では、訪問介護の前後や合間に、草むしりやペットの世話、同居家族の部屋の掃除や買い物などを保険外サービスとして提供できる例が示されています。ただし、本人分と同居家族分の料理を同時に作るように、介護保険のサービスと保険外のサービスを同時に一体として提供することは認められていません。

同居の家族がいる場合の生活援助の扱いや、個別の家事が介護保険の対象になるかどうかは、本人の状況や保険者である市区町村の判断によって変わることがあります。自己判断で決めつけず、ケアマネジャーに確認してください。

介護保険の生活援助で頼める家事と、対象外とされる家事、それを保険外の生活支援で補う関係を示した比較図

費用を構成する項目

保険外の生活支援サービスの料金は、事業者が独自に設定しています。家事代行会社、訪問介護事業所、シルバー人材センター、NPO法人など、提供する団体の性格によっても料金の考え方が大きく異なるため、この記事では相場の金額は示さず、料金を構成する項目を説明します。

一般的に、料金は次のような項目で組み立てられています。

  • 基本料金(1時間あたり、または時間の区切りごとの料金)
  • 最低利用時間(「1回1時間から」など)
  • 定期利用と単発利用の料金の違い
  • 早朝・夜間・休日の割増
  • 交通費・出張費
  • 入会金・年会費・登録料
  • キャンセル料や延長料金
  • 買い物代行の場合の商品代金(実費)や立て替えの手数料

定期的に利用する契約では、単発で依頼するよりも1回あたりの料金が安く設定されていることがあります。一方で、最低利用時間が設定されていると、短時間の依頼でも一定の料金がかかります。掃除用具や洗剤を利用者宅のものを使うのか、事業者が持参するのかによって、費用が変わる場合もあります。

見守りやちょっとした家事を中心に、住民同士の助け合いの仕組みで、比較的利用しやすい料金設定にしている団体もあります。自治体によっては、独自の家事支援や配食、見守りのサービスを実施していることもあるため、住まいの市区町村や地域包括支援センターにも確認してみてください。

介護保険外サービスの料金

依頼内容の伝え方

生活支援サービスを依頼するとき、「家事全般をお願いしたい」「週に1回来てほしい」といった伝え方では、事業者は必要な時間や人員を見積もることができません。見積もりと実際の支援の内容にずれが生じると、「時間内に終わらなかった」「思っていた作業をしてもらえなかった」という行き違いにつながります。

依頼内容を伝えるときは、どの場所で、どの作業を、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間をかけて行ってほしいのかを具体的にします。たとえば「掃除」であれば、「トイレと浴室の掃除を週1回」「居間と寝室に掃除機をかける」のように、場所と作業を分けて伝えます。

あわせて、本人が自分でできること、やりたいことも伝えておきましょう。すべてを任せるのではなく、本人が続けられることは残しておくことで、生活の中で体を動かす機会や、自分でできるという感覚を保ちやすくなります。

ケアマネジャー視点のアドバイス

家族からの相談では、「家事全般を見てほしい」という形で依頼内容がまとまっていないことがよくあります。依頼する前に、親の一週間の生活を思い浮かべながら、困りごとを「場所」「作業」「頻度」「所要時間」の4つに分けて書き出してみてください。「浴室/浴槽と床の掃除/週1回/30分」のように整理すると、事業者は必要な時間と費用を見積もりやすくなり、利用を始めてからの行き違いも減らせます。このメモを本人と一緒に作ると、本人が手伝ってほしいことと、自分で続けたいことの違いも見えてきます。介護保険を利用している場合は、同じメモをケアマネジャーに見せることで、保険で対応できる部分と保険外で頼む部分を分けやすくなります。

生活支援の依頼内容を、場所、作業、頻度、所要時間の4つの手順で具体化し、依頼メモの例を示した手順図

事業者の選び方

生活支援サービスは、提供する団体によって内容や体制が大きく異なります。料金だけで決めずに、次の点を確認しておきましょう。

最初に確認したいのは、依頼したい作業に対応しているかどうかです。対応できる作業とできない作業、対応地域、提供できる曜日や時間帯を確認します。庭の手入れや大掃除など、特定の作業を依頼したい場合は、具体的に伝えて対応の可否を聞いてください。

次に、担当者と体制です。担当者が固定されるのか、訪問のたびに変わる可能性があるのか、担当者が休んだときに代わりの人が来られるのかを確認します。介護の資格を持つ職員が担当するかどうかは、本人の状態によっては重要な確認点になります。

さらに、お金と鍵の扱いです。買い物の預かり金や立て替えの精算方法、自宅の鍵を預ける場合の管理方法、貴重品の扱いについて、事業者の決まりを確認します。事故や物の破損が起きた場合の賠償保険の加入状況も聞いておきたい点です。

最後に、報告と契約の内容です。訪問時の様子をどのように家族へ報告してもらえるのか、料金、キャンセルの期限、解約の方法が書面で示されているかを確認してください。説明が口頭だけの場合は、書面での提示を依頼しましょう。

生活支援の事業者を探す

「わたしのケア」では、生活支援サービスに対応している事業者を、地域やサービス内容から探すことができます。親の困りごとを依頼内容に整理できたら、対応内容や体制を見比べ、条件に合いそうな事業者に問い合わせてみてください。

掲載されている料金、対応地域、利用条件は変更されることがあります。問い合わせの際に、最新の内容を事業者へ直接確認してください。

参考資料

投稿者プロフィール

わたしのケア編集部
わたしのケア編集部
寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。