親の通院付き添いに疲れたら|家族の分担と頼める支援

親の通院に付き添うと、薬の受け取りや買い物まで含めて一日がかりです。
仕事を休むことも増えて、少ししんどくなってきました。

通院は、診察の時間だけでは終わりませんよね。
まず、どの場面で付き添いが必要なのか、一緒に整理してみましょう。

でも、私が付き添わないと困ると思うんです。
家族以外にも頼めることはありますか?

移動や薬の受け取りなど、一部を家族で分担したり、サービスに頼んだりできる場合があります。
親御さんに必要な支援を確かめながら、続けられる方法を考えていきましょう。
この記事では、ケアマネジャーへの取材をもとに、家族の分担、介護保険の通院支援、自費サービスの確認点を整理します。通院の介助を負担に感じていたり、自分以外が通院する方法を探している方は是非参考にしてください。
通院の負担は診察の時間だけではない
親の通院に付き添う日は、自宅から病院まで一緒に行くだけで終わるとは限りません。親の家に迎えに行き、外出の準備を手伝い、病院へ移動する。診察と会計を済ませて薬を受け取り、帰宅後には足りない日用品の買い物をする。こうした用事が重なると、通院のために一日を使うことになります。
徒歩やバスを利用する場合は、乗り降りや長い距離の移動も負担になります。親の足元を気にしながら荷物を持ち、疲れていないか見守るため、付き添う家族も気を張り続けます。
きょうだいに相談する際も、「通院が大変」と伝えるだけでは、実際の負担が伝わりにくいかもしれません。次の受診では、家を出てから帰るまでに行ったことと、おおよその時間をメモしてみましょう。診察以外に何をしているのかが見えると、分担を相談しやすくなります。
付き添いが必要な場面を一つずつ確かめる
付き添いが必要かどうかは、病院まで歩けるかだけでは判断できません。転倒の心配がある、通院先が遠い、認知機能の低下により受付や診察で困るといった場合には、一人での通院が難しいことがあります。
一方で、すべての場面に家族が付き添う必要があるとは限りません。移動は一人でできても、診察で普段の様子を伝える支援が必要な人もいます。誰かが病院まで送れば、院内では自分で動ける人もいるでしょう。親の状態に合わせて、次の場面を確認します。
| 場面 | 確認すること |
| 移動 | 自宅を出て病院に着くまで、安全に移動できるか。乗り降りや歩行に介助が必要か |
| 受付と待ち時間 | 受診の手続きができるか。呼び出しが分かるか。待つ間の見守りが必要か |
| 院内の移動 | 診察室や検査室、トイレへの移動に介助が必要か |
| 診察 | 症状や服薬状況を伝えられるか。医師の説明を理解し、帰宅後に確認できるか |
| 会計と薬 | 支払い、処方箋の扱い、薬の受け取りができるか |
| 帰宅後 | 安全に帰宅できるか。薬の変更や次回予約について確認が必要か |
「親が一人ではできないこと」と「家族が心配していること」は、分けて整理すると相談が進めやすくなります。本人ができていることまで代わってしまわず、必要な場面に支援を組み合わせましょう。
きょうだいとの分担は付き添いの回数だけで決めない
一人に負担が集中すると、仕事や家庭との両立が難しくなり、在宅での生活を支え続けられなくなることがあります。家族で話すときは、最初に親がどのような暮らしや通院の仕方を望んでいるのかを共有しましょう。
そのうえで、それぞれが無理なく担えることを考えます。同じ回数だけ付き添う方法が、どの家族にも合うわけではありません。近くに住む人、遠方に住む人、平日に休みを取りやすい人では、できることが違います。
例えば、受診に付き添う人とは別に、予約や家族への連絡を担当する人、受診後の買い物をする人、自費サービスの費用を一部負担する人に分ける方法もあります。これは分担を考えるための例であり、家族の事情に合わせて変えて構いません。
「できない部分はサービスに頼んでもよいか」「その費用は誰がどのくらい負担するか」まで話しておくと、後から行き違いが生じにくくなります。遠方で直接の介助が難しい人が、費用面で支える方法もあります。ただし、金銭的な負担で必ず解決するとは限りません。本人と家族の希望、支払える範囲を確かめながら、続けられる分担を決めることが大切です。
薬の受け取りも見直せます。薬局によっては配送などに対応しているため、利用条件や費用、服薬の説明を受ける方法を確認してみましょう。
介護保険で頼める通院支援を相談する
介護保険を利用している場合は、担当のケアマネジャーに「通院付き添いを続けるのが難しい」と相談してください。親の状態と必要な介助を確認し、ケアプランの中でどのような支援を組み合わせられるかを検討します。認定を受けていない場合や相談先が分からない場合は、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談できます。
訪問介護による通院支援には、歩行や移動などを助ける身体介護としての支援や、ヘルパーが運転する車への乗り降りと前後の介助などを行う「通院等乗降介助」があります。どの区分で利用できるかは、親の状態や支援内容などによって異なります。
「介護タクシー」と書いてあるから介護保険が使える、という判断はできません。介護保険で扱う介助の費用と車の運賃は別に確認し、何にいくらかかるのかを事業者へ尋ねましょう。
病院に着いてからの支援も確かめる
自宅から病院まで付き添ってもらえる場合でも、そのまま診察が終わるまで院内にいてもらえるとは限りません。院内介助は基本的に医療機関側での対応を確認しますが、本人の状態や医療機関の対応状況などを踏まえて、介護保険での支援が認められる場合もあります。全国どこでも一律に「使える」「使えない」と決めつけず、ケアマネジャーを通じて必要性や保険者の取扱いを確認してください。
また、単に順番を待つ時間と、本人の状態に応じた介助や見守りが必要な時間は分けて考えます。待ち時間のすべてが介護保険の対象になるわけではありません。病院でいったん支援を終え、帰る時間に再び迎えに来てもらう場合もあります。
待つ間にトイレへ行く、検査室へ移動する、呼び出しに対応するなどの支援が必要なら、誰がその時間を支えるかを先に決めておきましょう。病院の職員や院内ボランティアが対応できることもありますが、常に付き添ってもらえるとは限りません。
診察への同席と家族への報告は別に確認する
家族が最も気になるのが、診察で何を言われたのか分からないことかもしれません。診察室への同席や説明内容の記録・共有については、本人の意向、医療機関の方針、事業者の対応範囲を確認する必要があります。付き添いを依頼すれば、医師への質問や説明内容の報告まで当然に頼めるとは考えないようにしましょう。
普段の症状や服薬状況を家族から伝えたいときは、受診前に短いメモを用意すると役立ちます。診察後に家族へ何を、どのような方法で伝えるかも相談してください。重要な説明や今後の治療について確認したい場合は、家族が同席できる日を調整したり、医療機関に説明を受ける方法を尋ねたりすることも考えられます。
自費の看護師同行でも、診察への同席や報告ができるかは個別の確認が必要です。本人に代わって治療方針を決めてもらうサービスとは区別して考えましょう。
自費サービスは待ち時間と対応範囲まで見て選ぶ
介護保険だけでは必要な支援を組み合わせにくい場合、自費の通院付き添いが選択肢になります。例えば、待ち時間を含めてそばにいてほしい、院内の移動やトイレの介助も続けて頼みたい、といった希望です。
利用中の訪問介護事業所が自費サービスも提供していれば、通院の途中で介護保険の支援から自費の支援へ切り替えられる場合があります。ただし、すべての事業所が対応しているわけではありません。介護保険で行う時間と内容、自費になる時間と内容、費用を事前に分けて確認します。内容や料金の説明を受けて同意し、保険分と自費分が区別された請求になることも確かめておきましょう。
サービス名だけで決めず、「どこからどこまで任せられるか」を尋ねることが大切です。介護タクシーなら、送迎だけなのか、受付まで手伝ってもらえるのか。通院付き添いなら、移動手段も手配できるのか。看護師同行なら、どのような状態の人に対応でき、診察内容をどう共有してもらえるのかを確かめます。
特に気をつけたいのが待ち時間です。診察や検査が長引くと、自費の利用時間が延び、想定より高額になることがあります。時間単価だけで比較せず、最低利用時間、延長料金、交通費、キャンセル料を含めた見積もりを取りましょう。「予定より二時間長引いたらいくらになるか」と聞いておくと、費用の幅を把握しやすくなります。
| 伝えること | 確かめること |
| 親の歩行や認知機能の状態、必要な介助 | 対応できる介助と、対応できないこと |
| 通院先、予約時間、普段の所要時間 | 自宅の準備から帰宅までのうち、依頼できる範囲 |
| 診察で伝えたいことと家族への報告希望 | 診察同席の可否、記録や報告の方法 |
| 送迎の希望、車いすなどの利用状況 | 移動手段、乗降介助、運賃や交通費 |
| 待ち時間や検査が長引く可能性 | 延長時の対応、追加料金、連絡方法 |
| 当日の体調変化や予定変更への心配 | 緊急時の連絡先、キャンセルの扱い |
必要な支援が整理できたら、通院付き添い、介護タクシー、看護師同行などの情報を確認し、候補の事業者へ具体的な条件を伝えて相談しましょう。掲載されている情報と、実際に希望の日に利用できるかどうかは、分けて確認する必要があります。
親が家族以外の付き添いを嫌がるとき
「知らない人には頼みたくない」「自分一人で行ける」と親が話す場合は、まず何が嫌なのか、本人はどうすればよいと思っているのかを聞いてみましょう。費用が気になるのか、初めての人に付き添われることが不安なのかによって、話し合う内容は変わります。
家族が危ないと思っていても、本人には支援が必要な理由が伝わっていないことがあります。家族だけでは話が進まないときは、ケアマネジャーなどの第三者から、通院で心配な場面や困ったときの対応を説明してもらう方法もあります。
不安をあおって同意を求めるのではなく、「病院までの移動はどうするか」「診察の話が分からなかったら誰に聞くか」など、実際の場面を一緒に考えましょう。本人の希望と家族が担える範囲の両方を伝え、無理なく利用できる形を探します。
次の通院までに準備すること
次回からすべてを変える必要はありません。まず受診日と、家族が付き添える範囲を確認します。そのうえで、必要な介助と任せたい部分を整理し、介護保険を利用している人はケアマネジャーへ相談しましょう。
付き添う人が変わる場合は、次の内容を一か所にまとめておくと引き継ぎがしやすくなります。
・最近の症状や気になる変化、医師に聞きたいこと
・薬を飲めているか、飲み忘れや困りごとがあるか
・マイナ保険証または資格確認書、診察券、お薬手帳、必要な医療証
・予約日時、診療科、検査の予定
・家族の連絡先と、診察後に共有してほしい内容
持ち物は医療機関や薬局の案内に合わせて確認してください。本人が説明しにくい場合は、症状や服薬の様子を短く書いて付き添う人に渡し、医療機関にどう伝えてもらうかも相談しておきます。
通院付き添いの負担を軽くするには、親に必要な支援を保ちながら、家族が続けられる形へ調整していくことが大切です。次の一回で任せられそうなことを一つ見つけるところから、相談を始めてみてください。
参考資料
制度資料の確認日 2026年10月10日。自治体の資料は取扱いの具体例として参照しています。実際の利用条件は担当のケアマネジャーや市区町村、事業者へ確認してください。
投稿者プロフィール

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寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。
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