高齢の親の買い物を支えるサービス|代行・同行・宅配の違い

家族

実家の近くのスーパーが閉店して、母はバスで買い物に行っています。お米や牛乳が重いとこぼしていて、ネットスーパーを勧めたんですが、スマートフォンは苦手なようで。

ケアマネジャー

買い物の支え方には、代わりに買ってきてもらう代行、一緒に店へ行く同行、宅配、移動販売などがあります。

電話や紙の注文用紙で頼める宅配もありますよ。

家族

全部代わりに買ってもらえば楽だと思うんですが、お金を人に預けるのも心配なんです。

ケアマネジャー

お母さんがまだ自分で商品を選べるなら、一緒に行く同行のほうが、外出の機会や選ぶ楽しみを保てる場合もあります。

お金の受け渡しのルールは、利用を始める前に決めておきましょう。

高齢の親の買い物を支える方法には、代わりに買ってきてもらう「買い物代行」、一緒に店へ行く「買い物同行」、自宅まで届けてもらう「宅配スーパー・ネットスーパー」、近くまで来てくれる「移動販売」や食事を届ける「配食」などがあります。どれが合うかは、親が店まで移動できるか、自分で商品を選べるか、どのような方法で支払いができるかによって変わります。

この記事では、買い物に困る主な理由、買い物を支えるサービスの種類と違い、親の状態に合う選び方、お金の受け渡しで注意したいこと、費用と利用条件、事業者に伝えることを説明します。親の状態に合う買い物の支え方を選ぶための参考にしてください。

高齢の親が買い物に困る主な理由

高齢の親が買い物に困る理由は、一つではありません。支え方を考える前に、何が難しくなっているのかを整理しておくと、合うサービスを選びやすくなります。

一つ目は、店までの移動が難しくなっていることです。足腰が弱って長い距離を歩けない、運転免許を返納した、近くの店が閉店した、バスの本数が少ないといった事情があります。

二つ目は、荷物を持ち運べないことです。お米や飲料、洗剤などの重い物や、かさばる物を買って帰るのが負担になっている場合です。店までは行けても、帰り道が大変という人は少なくありません。

三つ目は、商品を選ぶことや支払いが難しくなっていることです。何を買う必要があるのかを思い出せない、同じ物を何度も買ってしまう、お釣りの計算に時間がかかるといった変化は、認知機能の低下が関わっている場合もあります。

このうちどれが当てはまるかによって、必要な支援は変わります。移動だけが難しいのであれば宅配や同行で補えますが、商品を選ぶことやお金の管理が難しくなっている場合は、買い物の支援とは別の相談が必要になることもあります。

買い物を支えるサービスの種類

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、地域の生活支援等サービスとして、買い物を含む家事援助や、通院や買い物などを一人で行うことが困難な人への外出支援が分類されています。ここでは、買い物を支える主なサービスを4つに分けて紹介します。

買い物代行

買い物代行は、事業者のスタッフが利用者から頼まれた物を代わりに購入し、自宅に届けるサービスです。家事支援の事業者、訪問介護事業所が保険外で行うもの、地域の助け合い団体など、さまざまな担い手がいます。

外出が難しい人や、重い物の購入を任せたい人に向いています。一方で、商品を選ぶのはスタッフになるため、銘柄や量、代わりの商品を選ぶときの判断など、細かい希望を事前に伝えておく必要があります。

なお、要介護認定を受けている人は、介護保険の訪問介護の生活援助として、本人の日常生活に必要な物の買い物をヘルパーに頼める場合があります。ケアプランに位置づけられるかどうかは、ケアマネジャーに相談してください。

買い物同行

買い物同行は、スタッフが利用者と一緒に店へ行き、移動の付き添いや荷物の運搬、商品探しの手伝いなどを行うサービスです。本人が自分で商品を見て選べるため、買い物の楽しみや、外出の機会を保ちやすいのが特徴です。

移動の手段は、徒歩や公共交通機関で付き添う場合、タクシーを使う場合などがあります。車いすを使う人は、介護タクシーの手配が必要になることもあります。

宅配スーパー・ネットスーパー

宅配スーパーやネットスーパーは、電話やカタログ、インターネットで注文した商品を自宅まで届けてもらうサービスです。生活協同組合の宅配や、スーパーのネットスーパーなどがあります。

重い物やかさばる物を届けてもらえるため、荷物の運搬が負担になっている人に向いています。注文の方法はサービスによって異なり、インターネットでの注文が中心のものもあれば、紙の注文用紙や電話で注文できるものもあります。親が使える注文方法かどうかは、選ぶときの大切な確認点です。家族が離れた場所から代わりに注文できるサービスもあります。

移動販売・配食

移動販売は、食料品や日用品を積んだ車が決まった曜日と時間に地域を回り、自宅の近くで買い物ができるサービスです。自分の目で商品を見て選べる上に、販売員や近所の人と顔を合わせる機会にもなります。運行している地域や曜日は限られているため、親が住む地域で利用できるかを確認する必要があります。

配食は、調理済みの食事を自宅まで届けるサービスです。買い物と調理の両方が負担になっている場合に、食事の面を支える方法として検討されます。配達の際に安否を確認してくれるサービスもあり、介護サービス情報公表システムでも「配食(+見守り)」として分類されています。

買い物代行、買い物同行、宅配スーパー・ネットスーパー、移動販売・配食を、店に行く人、商品を選ぶ人、向いている人で比較した図

親の状態に合う選び方

買い物を支える方法を選ぶときは、親の移動の力、商品を選ぶ力、支払いの力の3つを確認すると整理しやすくなります。

店までの移動や荷物の運搬だけが難しく、商品を選んだり支払ったりすることはできる場合は、宅配スーパーや移動販売、買い物同行が候補になります。本人が自分で選べる状態を保てるため、生活のリズムや楽しみを大きく変えずに済みます。

外出そのものが難しい場合や、体調によって外出できない日がある場合は、買い物代行や宅配が向いています。宅配の注文が難しい場合は、家族が代わりに注文する方法や、電話で注文できるサービスを選ぶ方法があります。

商品を選ぶことや支払いに不安がある場合は、買い物代行で必要な物を決めて依頼できます。その際は、何をどれだけ頼むかを家族やスタッフと一緒に確認する仕組みを整えておきましょう。お金の管理そのものが難しくなっている場合、買い物サービスだけで解決しようとせず、相談先を広げる必要があります。

ケアマネジャー視点のアドバイス

家族は、重い物を運ぶ負担や外出時の転倒を心配して、買い物を「代わりに済ませてもらう」方向で考えがちです。しかし、商品を見比べて選ぶ力が保たれているうちは、代行よりも同行のほうが、本人の外出の機会と、自分で決める楽しみを保てる場合があります。

買い物は、歩くこと、季節の食材を見ること、店の人と言葉を交わすことを含めた生活の一部です。どの方法にするかを決める前に、本人に「何を自分で選びたいか」「どこへなら行きたいか」を聞いてみてください。重い物だけを宅配にして、ほかは同行で買いに行くといった組み合わせも考えられます。

親が店まで移動できるか、自分で商品を選べるか、お金の管理ができるかの3つの問いから、買い物の支え方を選ぶ判断チャート

現金・カード・立替精算の注意点

買い物の支援を利用するときに、最も行き違いが起きやすいのがお金の扱いです。事業者のスタッフが本人のお金を預かったり、立て替えたりする場面があるため、事前にルールを決めておくことが大切です。

買い物代行では、事前に現金を預ける方法、スタッフが立て替えて後で精算する方法、商品代金を利用料と一緒に請求する方法などがあります。どの方法でも、レシートを必ず受け取り、預けた金額と支払った金額、お釣りを確認できるようにしておきます。立て替えの上限額や、手数料の有無も確認してください。

キャッシュカードやクレジットカード、暗証番号をスタッフへ預けることは、トラブル防止のため避けましょう。事業者によって取り扱いのルールが異なるので、指定された支払い方法を事前に確認します。宅配スーパーやネットスーパーでは、口座引き落としやクレジットカードを選べる場合もあるため、家族が注文と支払いを担う方法も検討できます。

親の認知機能が低下している場合、買い物サービスを導入するだけでは金銭管理の問題は解決しません。同じ物を何度も注文する、訪問販売などで不要な契約をするといった心配があれば、地域包括支援センターへ相談してください。日常生活自立支援事業では、判断能力が不十分でも契約内容を理解できる人を対象に、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理などを契約にもとづいて支援します。相談窓口は市町村の社会福祉協議会です。本人の状態によっては、成年後見制度を含めて専門窓口へ相談する方法もあります。

買い物支援を利用する際に決めておく支払い方法、確認方法、預けないもの、相談が必要なサインをまとめたチェックリスト

費用と利用条件

買い物を支えるサービスの費用は、種類によって考え方が異なります。

買い物代行や買い物同行を保険外のサービスとして依頼する場合、料金は事業者が独自に決めています。時間あたりの料金、最低利用時間、交通費、商品代金の立て替えの手数料などで総額が決まります。同行の場合は、スタッフの交通費やタクシー代を利用者が負担するのが一般的です。

宅配スーパーやネットスーパーでは、商品代金のほかに、配送料や入会金、年会費がかかる場合があります。一定額以上の購入で配送料が無料になる、高齢者向けに配送料を割り引くといった条件を設けているサービスもあります。配達できる地域や曜日、時間帯の指定ができるかも確認してください。

移動販売は、運行している地域や曜日が限られており、店頭より価格が上乗せされている場合があります。配食サービスは、1食あたりの料金に加えて、配達料がかかるかどうか、食事の形態や制限食に対応しているかを確認します。

自治体によっては、配食サービスへの補助や、買い物支援の独自の事業を行っていることもあります。利用できる制度があるかどうかは、住まいの市区町村や地域包括支援センターで確認してください。

事業者に伝えること

買い物代行や同行を依頼するときは、次のような情報を事業者に伝えておくと、支援がスムーズになります。

本人の状態については、歩行や移動の状況、持病や食事の制限、アレルギーの有無を伝えます。飲み込みにくさなどがある場合は、選ぶ食品にも配慮が必要になります。

買い物の内容については、よく買う物の銘柄や量、行きつけの店をまとめます。希望の商品がなかったときに代替品を買ってよいか、買わずに戻ってよいかという判断の基準も共有しましょう。一度リストにしておくと、担当者が変わっても同じ内容を引き継ぎやすくなります。

お金の扱いについては、支払い方法、預ける金額の上限、レシートとお釣りの受け渡し方法を事前に決めることが大切です。家族に買い物の内容を報告してほしい場合は、その方法もあわせて伝えておきましょう。

生活支援の事業者を探す

「わたしのケア」では、買い物代行や買い物同行に対応している生活支援の事業者を、地域やサービス内容から探すことができます。親の状態と必要な支援を整理できたら、対応内容やお金の扱いを見比べ、条件に合いそうな事業者に問い合わせてみてください。

掲載されている料金、対応地域、利用条件は変更されることがあります。問い合わせの際に、最新の内容を事業者へ直接確認してください。

参考資料


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投稿者プロフィール

わたしのケア編集部
わたしのケア編集部
寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。