一人暮らしの親を見守る方法|訪問・センサー・生活支援の選び方

昨夜、母に電話をかけてもつながらなかったんです。早く寝ていただけでしたが、実家までは新幹線で2時間かかるので、朝まで何もできずに待つしかありませんでした。

それは心配でしたね。見守りには、訪問や電話、センサー、緊急通報など、いくつかの方法があります。お母さんの状態と、ご家族が何を知りたいのかによって、合う方法が変わります。

センサーをつけようと言ったら、母は「監視されているみたいで嫌だ」と言うんです。それに、通知が来ても、私はすぐには駆けつけられません。

ご本人が受け入れやすい方法から始めることもできますよ。それから、通知が来た後に誰が連絡して、誰が様子を見に行くのかまで決めておくことが、見守りを機能させるためには欠かせません。
一人暮らしの親の見守りには、人が訪問したり電話をかけたりする方法、センサーや家電で生活の様子を知らせる方法、緊急時にボタンで通報できる方法、家事などの生活支援と組み合わせる方法があります。どれか一つが正解というわけではなく、親の状態と、家族が何を知りたいのか、異常に気づいた後に誰が動けるのかによって、合う方法が変わります。
この記事では、見守りを考える前に整理すること、見守りサービスの種類と違い、親が見守りを嫌がるときの伝え方、異常時の対応の決め方、費用と自治体の助成、選び方のチェックポイントを説明します。親の状態と家族の事情に合う見守りの方法を選ぶための参考にしてください。
見守りを考える前に整理すること
見守りサービスを選ぶ前に、家族の間で整理しておきたいことが3つあります。
一つ目は、何を心配しているのかです。家の中で倒れて動けなくなること、持病の急な悪化、食事や服薬がきちんとできているか、火の不始末、詐欺などの被害、会話の機会が減っていることなど、心配の中身によって必要な見守りの形は変わります。
二つ目は、何を知りたいのかです。「毎日元気に過ごしているか」を知りたいのか、「いつもと違う様子があったとき」に知らせてほしいのか、「緊急時にすぐ助けを呼べる」状態にしたいのかによって、選ぶサービスが異なります。
三つ目は、異常に気づいたときに誰が動けるのかです。家族が近くに住んでいるのか、遠方なのか、近所に頼れる人がいるのかによって、通知を受け取るだけのサービスで足りるのか、事業者が駆けつける仕組みが必要なのかが変わります。
この3つを整理してからサービスを比べると、機能の多さや価格だけにとらわれず、自分たちに必要な見守りを選びやすくなります。
高齢者向け見守りサービスの種類
見守りサービスは、大きく分けて4つの種類があります。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、地域の生活支援等サービスの一つとして「見守り・安否確認」が挙げられ、地域の自治会や町内会、民間事業者などが家事支援などと共に行うサービスであり、緊急時に通報できるサービスも含まれると説明されています。
訪問型・電話型
訪問型は、事業者のスタッフや配達員などが定期的に自宅を訪れ、顔を合わせて様子を確認する方法です。表情や声の調子、部屋の様子など、人の目でしか分からない変化に気づきやすいのが特徴です。配食サービスの配達時に安否を確認する形や、郵便・宅配などの事業者が訪問時に様子を確認する形もあります。
電話型は、決まった時間に電話をかけて体調や生活の様子を確認する方法です。自動音声による安否確認と、スタッフが会話をする形があります。会話の機会が少ない親にとっては、話し相手としての役割も果たします。
訪問型・電話型は、人とのつながりを保てる一方で、訪問や電話の間の時間帯に起きた異常には気づきにくいという面があります。
センサー・家電・カメラ型
センサー型は、人の動きを感知するセンサーや、ドアの開閉、トイレの使用などを検知する機器を自宅に設置し、一定時間動きがない場合などに家族へ通知する方法です。電気ポットや冷蔵庫、照明などの家電の使用状況から、生活のリズムを知らせる仕組みもあります。
これらは、本人が特別な操作をしなくても、日常の生活の様子を見守れるのが特徴です。一方で、通知が届いても、実際に何が起きているのかは分からないため、通知の後に家族が電話をかけるなどの確認が必要になります。
カメラ型は、室内の様子を映像で確認できる方法です。状況を把握しやすい反面、本人が監視されていると感じやすく、プライバシーへの配慮が特に必要になります。設置する場合は、本人の同意を得た上で、設置場所や映像を見る人、時間帯を話し合って決めてください。
緊急通報・警備型
緊急通報型は、体調が悪くなったときなどに本人がボタンを押すと、事業者の受信センターや登録した連絡先につながる仕組みです。首から下げるペンダント型や、据え置き型の機器などがあります。
警備型は、警備会社などが提供するサービスで、緊急通報を受けたり、センサーが異常を感知したりした場合に、スタッフが自宅へ駆けつける対応を含むものがあります。家族が遠方に住んでいて、すぐに駆けつけられない場合に検討されることが多い方法です。
緊急通報は、本人がボタンを押せる状態であることが前提になるため、意識を失った場合や、ボタンを身につけていなかった場合には機能しません。センサー型と組み合わせる方法もあります。
生活支援と組み合わせる方法
見守りだけを目的としたサービスではなく、掃除や買い物、調理などの生活支援サービスを定期的に利用し、その訪問の際に様子を確認してもらう方法もあります。家事の手伝いを受けながら、体調や生活の変化を家族へ報告してもらえるため、「見守られている」という感覚が薄く、本人が受け入れやすいことがあります。
訪問の頻度が週1回程度であれば、ほかの見守りの方法と組み合わせることで、間の時間帯を補うことができます。

親が見守りを嫌がる理由と伝え方
家族が見守りを提案しても、親が「まだ大丈夫」「監視されるのは嫌だ」と受け入れないことがあります。嫌がる理由には、年寄り扱いされることへの抵抗、プライバシーが守られない不安、機器の操作が難しそうという心配、費用の負担への遠慮などがあります。
見守りを提案するときは、親を心配している家族の気持ちを伝えることから始めるとよいでしょう。「何かあったら心配だから」だけでなく、「電話に出ないときに、こちらも落ち着いて待てるようにしたい」のように、家族の側の安心のためでもあることを伝えると、受け入れてもらいやすくなることがあります。
いきなり機器を設置するのではなく、本人が抵抗を感じにくい方法から始めるのも一つの方法です。定期的な電話や、家事支援の訪問に合わせた様子の確認など、生活の延長として受け入れやすい形から始め、必要に応じて機器を加えていきます。
カメラやセンサーを使う場合は、何が家族に伝わり、何は伝わらないのかを具体的に説明し、本人の同意を得てください。本人が納得しないまま設置すると、機器の電源を切られたり、家族との関係がぎくしゃくしたりすることがあります。かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターの職員など、本人が信頼している第三者から話してもらうことで、受け入れやすくなる場合もあります。
異常時に誰が何をするのか
見守りサービスを導入しても、異常を知らせる通知を受け取った後に誰がどう動くのかが決まっていなければ、見守りは機能しません。特に、家族が遠方に住んでいる場合は、通知を受けても自分では駆けつけられないため、事前の取り決めが重要になります。
まず、通知を受け取る人を決めます。家族の中で誰が最初に通知を受け、その人が対応できないときに誰に回すのかを、順番をつけて決めておきます。
次に、通知を受けた後の確認方法を決めます。本人に電話をかける、近所に住む親族や知人に様子を見に行ってもらう、事業者のスタッフに駆けつけてもらうなど、状況の確認の手段を用意しておきます。
さらに、自宅に入る方法を決めておきます。本人が倒れて玄関を開けられない場合に備えて、合鍵を誰が持っているのか、事業者に鍵を預けるのかを確認します。
最後に、救急車を呼ぶ判断と、かかりつけの医療機関、持病や服薬の情報を、関係する人で共有しておきます。
ケアマネジャー視点のアドバイス
見守りの相談では、「何かあったら通知が来る」ことで安心してしまい、その後の動きが決まっていないことがあります。通知は、異常に気づくきっかけにすぎません。導入の前に、「通知を受ける人」「本人に連絡する人」「現地へ行く人」「鍵を持っている人」「救急車を呼ぶ判断をする人」を、一枚の紙に名前と連絡先で書き出してみてください。家族だけで埋まらない役割がある場合は、駆けつけを含むサービスや、近所の協力者、地域包括支援センターへの相談を検討する目安になります。書き出した紙は、親の家の電話の近くにも置いておくと、訪問する事業者や救急隊にも情報が伝わりやすくなります。

費用と自治体の助成
見守りサービスの費用は、方法や事業者によって大きく異なります。機器を使う方法では、機器の購入費またはレンタル料、設置工事費、月額の利用料、通信費などがかかることがあります。訪問型や駆けつけを含むサービスでは、月額料金に加えて、駆けつけ1回ごとの料金が設定されている場合もあります。
費用を比べるときは、初期費用と月額費用を分けて確認し、1年間の総額で考えると判断しやすくなります。解約時の違約金や機器の返却の扱いも、あわせて確認してください。
自治体によっては、一人暮らしの高齢者などを対象に、緊急通報装置の貸し出しや見守り機器の費用の補助、配食時の安否確認などを実施しています。たとえば横浜市では、市内に住む65歳以上の一人暮らしの人で、市のほかの見守りサービスを利用していない人を対象に、市に登録された事業者の見守り・安否確認機器の月額費用を、最大で月額1,000円補助する事業を実施しています(2026年9月確認、令和8年度の内容)。
こうした制度の有無、対象となる人の条件、補助の内容は、自治体によって大きく異なります。親が住む市区町村の窓口や地域包括支援センターで、緊急通報装置の貸し出し、見守り機器の費用補助、配食時の安否確認など、現在利用できる制度を確認してください。
選び方のチェックポイント
見守りサービスを選ぶときは、機能の数や価格だけで比べずに、次の点を確認しておきましょう。
まず、親の状態と生活に合っているかです。本人が機器の操作をできるか、ボタンを常に身につけていられるか、自宅にインターネットの環境が必要かどうかなど、使い続けられる条件がそろっているかを確認します。
次に、通知と対応の範囲です。どのような場合に、誰に、どのような方法で通知が届くのか、事業者が駆けつける対応を含むのか、駆けつけまでにどのくらいの時間がかかる目安なのかを確認します。
さらに、個人情報とプライバシーの扱いです。センサーの記録やカメラの映像を誰が見られるのか、どのくらいの期間保存されるのかを確認し、本人にも説明できるようにしておきます。
最後に、契約の条件です。初期費用と月額費用、契約期間、解約時の違約金、機器の返却、鍵を預ける場合の管理方法が、書面で示されているかを確認してください。

生活支援の事業者を探す
「わたしのケア」では、見守りに対応した生活支援の事業者を、地域やサービス内容から探すことができます。家事の手伝いと様子の確認を組み合わせたい場合は、訪問の頻度や家族への報告方法を見比べ、条件に合いそうな事業者に問い合わせてみてください。
掲載されている料金、対応地域、利用条件は変更されることがあります。問い合わせの際に、最新の内容を事業者へ直接確認してください。
参考資料
投稿者プロフィール

-
寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。
最新の投稿
サービス選びのヒント2026年10月10日親の通院付き添いに疲れたら|家族の分担と頼める支援
サービス選びのヒント2026年9月30日一人暮らしの親を見守る方法|訪問・センサー・生活支援の選び方
サービス選びのヒント2026年9月30日自費リハビリとは?保険リハビリとの違い・料金・選び方
サービス選びのヒント2026年9月30日高齢者向け生活支援サービスとは?家事・買い物・見守りの頼み方


