介護保険外サービスの料金はどう決まる?見積もりで確認する項目

母の通院に付き添ってくれるサービスを調べたら、事業者によって料金の書き方がばらばらなんです。
1時間いくら、1回いくら、月いくら……。結局どこが安いのか分からなくて。

介護保険外サービスの料金には統一された価格がなく、事業者がそれぞれ決めています。
ですから、1時間の単価だけでなく、最低利用時間や交通費、キャンセル料まで含めた総額で比べることが大切です。

問い合わせたら契約を急かされそうで、なかなか電話できずにいます。

見積もりを取ることと、契約することは別です。同じ条件を伝えて複数の事業者に見積もりを頼めば、落ち着いて比べられます。
どの項目を確認すればよいか、順番に整理していきましょう。
介護保険外サービスの料金は、利用時間の決め方、担当者の資格、時間帯、交通費、初回費用、キャンセルや延長の扱いなど、複数の項目を組み合わせて決まります。そのため、料金表に載っている金額と実際に支払う総額が一致しないことも珍しくありません。
この記事では、介護保険外サービスの主な料金体系、追加費用になりやすい項目、見積もりの条件をそろえる方法、サービスごとに確認したい費用、キャンセル・延長・交通費の確認点、自治体や保険のサービスとの組み合わせ方を説明します。最後に、見積もりを受け取ったときに使えるチェックリストも紹介します。
介護保険外サービスの料金に統一価格はない
介護保険サービスの料金は、国が定めた介護報酬にもとづいて決まっています。利用者が支払うのは費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)で、在宅のサービスには要介護度ごとに月の利用限度額が定められています。限度額の範囲内であれば、どの事業所を利用しても、同じサービスの料金は基本的に同じ基準で計算されます。
これに対して介護保険外サービスは、利用者と事業者の契約にもとづくサービスのため、料金は事業者が自由に設定しています。同じ「1時間の付き添い」でも、提供する団体の種類(訪問介護事業所、訪問看護ステーション、家事代行会社、NPO法人、地域の助け合い団体など)や、地域、担当者の資格によって、金額は大きく異なります。
そのため、インターネット上で「相場」として示されている金額は、あくまで一部の事業者の例にすぎないことがあります。この記事でも、特定の金額を相場として示すことはせず、料金がどのような項目で組み立てられているのか、何を確認すれば比較できるのかに焦点を当てて説明します。
なお、介護保険外サービスの費用は全額自己負担で、介護保険の利用者負担額が一定の上限を超えた場合に払い戻される高額介護サービス費などの仕組みの対象にもなりません。継続して利用する場合は、1か月あたり、1年あたりの支出の見通しを立てておくことが大切です。
主な料金体系
介護保険外サービスの料金体系は、事業者やサービスの種類によってさまざまですが、大きく分けると次のような形があります。
時間制・回数制・月額制
最も多いのは、利用した時間に応じて料金がかかる時間制です。「1時間あたり」「30分ごと」などの単位で料金が決められています。家事支援、付き添い、自費の訪問看護など、多くのサービスで使われている形です。時間の単位が細かいほど、実際に使った時間に近い料金で利用できますが、延長した場合の計算方法は事業者によって異なります。
回数制は、1回あたりの料金が決まっている形です。「1回60分」のように時間とセットになっている場合もあれば、訪問理美容のように内容ごとに料金が決まっている場合もあります。回数券を販売している事業者もあり、まとめて購入すると1回あたりの料金が下がる設定になっていることがあります。
月額制は、毎月決まった料金で一定のサービスを受ける形です。見守りサービスや、定期的な訪問を含むプラン、自費リハビリの月額プランなどで見られます。利用する回数が多いほど1回あたりの負担は下がりますが、利用しなかった月でも料金がかかる場合があるため、契約期間や解約の条件を確認しておく必要があります。
初回費用・登録料・最低利用時間
利用料とは別に、最初にかかる費用が設定されていることがあります。入会金、登録料、年会費、初回の面談や評価の費用などです。短期間だけ利用する場合は、こうした初回の費用が総額に占める割合が大きくなります。
もう一つ見落としやすいのが、最低利用時間です。「1回2時間から」のように最低利用時間が決まっていると、実際に必要なのが1時間でも、2時間分の料金がかかります。1時間あたりの単価が安く見えても、最低利用時間が長ければ、1回の支払いは高くなるでしょう。
事業者によっては、定期利用と単発利用で料金が異なります。週1回など定期的に利用する契約のほうが、1回ごとに依頼するよりも単価が低く設定されている場合があります。

追加費用になりやすい項目
基本の料金とは別に、条件によって追加でかかる費用があります。見積もりや料金表を確認するときは、次のような項目が含まれているかどうかを確かめてください。
- 早朝・夜間・深夜・休日・年末年始の割増
- 担当者の資格による加算(看護師、リハビリ専門職など)
- 交通費・出張費(自宅までの移動、対応地域外の加算)
- 外出同行時の担当者の交通費・入場料・食事代・宿泊費
- 買い物代行時の立て替え手数料
- 延長料金
- キャンセル料
- 医療機器や介護用品、掃除用具などの物品の費用
- 消費税(料金表が税込か税別か)
このうち、時間帯の割増と交通費は、多くのサービスで総額に影響します。たとえば、朝の通院の付き添いや、夜間の見守りを依頼する場合は、割増の対象となる時間帯がいつからいつまでなのかを確認しておく必要があります。交通費は、実費で請求する事業者、距離に応じて定額で請求する事業者、一定の範囲内であれば料金に含む事業者などがあり、同じ地域に住んでいても、事業者の拠点からの距離によって金額が変わることがあります。
外出や旅行への同行では、担当者の交通費や宿泊費を利用者が負担するのが一般的です。本人の分の費用とは別に、同行者の分の運賃や宿泊費がかかることを見込んでおきましょう。

見積もり条件をそろえる方法
複数の事業者の料金を比べるときに大切なのは、同じ条件で見積もりを依頼することです。事業者ごとに伝える内容が違うと、見積もりの金額を比べても、どちらが自分たちに合っているのかを判断できません。
見積もりを依頼するときは、次のような条件を具体的に伝えます。
一つ目は、依頼したい内容です。「生活支援」「付き添い」といった大まかな言葉ではなく、「浴室とトイレの掃除」「病院の受付から会計、薬の受け取りまでの付き添い」のように、作業の内容を具体的に伝えます。医療的なケアが必要かどうかも、担当者の資格や料金に関わるため、必ず伝えます。
二つ目は、日時と時間です。曜日、開始時刻、見込みの所要時間を伝えます。通院のように時間が読みにくい場合は、「最長でこのくらい」という見込みも伝えておくと、延長料金を含めた見積もりを出してもらいやすくなります。
三つ目は、頻度と期間です。週1回の定期利用なのか、1回だけの利用なのか、どのくらいの期間続ける予定なのかを伝えます。
四つ目は、場所です。自宅の住所(地域)、外出先、移動の手段を伝えます。交通費の計算に関わるため、おおよその場所だけでも伝えておきましょう。
こうして伝えた条件をメモに残し、すべての事業者に同じ内容を伝えるようにすると、見積もりを横に並べて比べやすくなります。
ケアマネジャー視点のアドバイス
見積もりを比べるとき、家族はどうしても1時間あたりの単価に目が向きがちです。しかし、単価が安くても最低利用時間が長ければ1回の支払いは高くなりますし、交通費や夜間の割増、事前の面談料、キャンセル料が別にかかれば、総額は逆転することもあります。
見積もりを受け取ったら、「実際に利用する条件で、1回あたりいくらになるか」「1か月続けたらいくらになるか」を、事業者ごとに書き出してみてください。あわせて、体調不良で当日に取りやめたときにいくらかかるのかも確認しておくと、利用を始めてからの想定外の出費を防げます。

サービス別に確認したい費用
介護保険外サービスには多くの種類があり、サービスによって確認したい費用の項目が少しずつ異なります。ここでは、主なサービスごとに、見積もりで特に確認したい点を紹介します。
自費の訪問看護では、担当者が看護師であることによる料金の違い、長時間や夜間の対応の料金、医療的なケアに関わる費用を確認します。医療的なケアを依頼する場合は、主治医の指示書の取り扱いに費用がかかるかどうかも聞いておきましょう。
看護師同行サービスでは、同行時間の数え方(自宅を出てから帰宅するまでか、合流してから解散するまでか)、待ち時間による延長、看護師の交通費や宿泊費を確認しておきましょう。
自費リハビリでは、1回あたりの料金に加えて、初回の評価や体験の料金、回数券や月額プランの有効期限と返金の扱いも確認が必要です。
生活支援サービスでは、最低利用時間、定期利用と単発利用の料金の違い、掃除用具や洗剤の扱い、買い物代行時の立て替えの方法と手数料を確かめてください。
見守りサービスでは、機器の購入費やレンタル料、設置工事費、月額料金、駆けつけ1回ごとの料金、解約時の違約金を確認しましょう。配食サービスでは、1食あたりの料金と配達料、最低注文数が確認項目です。
キャンセル・延長・交通費の確認
見積もりの中でも、キャンセル、延長、交通費の3つは、利用を始めてから「思っていたより高かった」と感じやすい項目です。契約前に、条件を具体的に確認しておきましょう。
キャンセル料は、いつまでに連絡すれば無料なのか、前日や当日の取り消しはいくらかかるのかを確認します。高齢の親の場合、体調の変化で直前に予定を取りやめることは珍しくありません。体調不良による取り消しを特別に扱う事業者もあるため、その扱いも聞いておくとよいでしょう。旅行への同行など、事業者が交通機関や宿泊先を手配している場合は、それらのキャンセル料も利用者の負担になることがあります。
延長料金は、どのような単位で計算されるのか(15分ごと、30分ごとなど)、延長する場合に事前の確認があるのかを確認します。通院の付き添いのように、待ち時間によって時間が延びやすいサービスでは、特に大切な確認点です。
交通費は、実費か定額か、どこからどこまでの移動が対象になるのか、対応地域の外では加算があるのかを確認します。同行サービスでは、担当者が利用者の自宅に来るまでの交通費と、一緒に移動する際の交通費が別に計算されることもあります。
自治体サービスや保険サービスとの組み合わせ
介護保険外サービスの費用を考えるときは、自治体のサービスや介護保険のサービスで対応できる部分がないかも確認しておきたいところです。
介護保険を利用している場合は、訪問介護や訪問看護などの保険のサービスで対応できる部分と、保険外のサービスで補う部分を分けて考えます。厚生労働省の通知では、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合、保険外サービスの料金は介護保険サービスとは別に定め、別に請求し、会計も分けることが求められています。同じ事業者に両方を頼む場合は、どこまでが保険のサービスで、どこからが保険外なのか、請求書でも区別されているかを確認してください。
また、要介護度ごとの利用限度額を超えて介護保険サービスと同等のサービスを受ける場合、その価格は介護保険で事業者に支払われる費用と同じ水準にすることが望ましいとされています。ただし、事業者が違いを文書で説明して利用者の同意を得れば、別の価格を設定することもできるとされています。限度額を超えた分の料金がどのように決められているかも、確認しておくとよいでしょう。
自治体によっては、配食サービスへの補助、見守り機器の費用の補助、緊急通報装置の貸し出し、家事支援や外出支援の独自のサービスなどを行っていることがあります。対象となる人や内容は自治体ごとに大きく異なるため、住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してください。こうした制度と保険外サービスを組み合わせることで、全体の費用を抑えられる場合があります。
見積もり確認チェックリスト
見積もりを受け取ったら、次の項目を確認しましょう。事業者ごとに同じ項目を見れば、比較しやすくなります。
- 伝えた条件(内容・日時・時間・頻度・場所)が見積もりに反映されているか
- 料金体系は時間制・回数制・月額制のどれか
- 最低利用時間と、延長の計算単位
- 早朝・夜間・休日の割増の対象時間帯
- 担当者の資格と、資格による料金の違い
- 交通費は実費か定額か、どこからどこまでが対象か
- 入会金・登録料・年会費・初回の面談費用
- キャンセル料の発生時期と金額、体調不良時の扱い
- 物品の費用や立て替え手数料の有無
- 料金は税込か税別か
- 1回あたり・1か月あたりの総額
- 介護保険サービスと組み合わせる場合、請求が分かれているか
- 料金や条件が書面で示されているか
見積もりの内容で分からないことがあれば、契約前に事業者へ質問しましょう。説明が口頭だけの場合は、書面での提示を依頼してください。ケアマネジャーや地域包括支援センターに見積もりを見てもらい、介護保険や自治体のサービスで対応できる部分がないか相談するのも一つの方法です。
「わたしのケア」では、介護保険外サービスを提供する事業者を、地域やサービスの種類から探すことができます。見積もりの条件を整理できたら、対応内容や料金の考え方を見比べ、条件に合いそうな事業者に問い合わせてみてください。掲載されている料金、対応地域、利用条件は変更されることがあります。問い合わせの際に、最新の内容を事業者へ直接確認してください。
参考資料
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投稿者プロフィール

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寺岡 純子
看護師・主任介護支援専門員(ケアマネジャー)。産業ケアマネジャー3級。長年、看護・介護業界で、高齢者本人と家族への支援やケアマネジメントに携わる。現在は、居宅介護支援事業所の運営、介護・福祉事業者を対象とした研修やBCP支援、専門記事の執筆・監修などを行っている。
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